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平成28年度二級建築士学科試験の総評

本年の学科試験の内容は、一部に、近年の傾向の延長線上ともいえる過去の問題の出題範囲外からの新規の高いレベルの設問も見られたものの、総じて、大方の問題は、過去の出題範囲の事項についてのしっかりした知識と深い理解を有していれば正解に至ることのできるものが多く見られました。但し、その反面、付け焼き刃的な表面的な知識では解けない問題も多く、従来の出題範囲内の事項について、いかに単なる暗記でない深い理解力と応用力を有しているかが、合否を分ける大きな要因になったと考えられます。

学科 I (計画)

計画の各分野別の問題数は、建築史2、環境工学8、建築計画論8、建築設備7で、各分野からの出題比率は例年通りでした。概ね各分野の問題は、既出題範囲からの問題で、比較的取り組みやすいものでしたが、環境工学の分野での窓から入射する日照に関する問題や建築計画論での事務所建築に関する問題で図表を用いた新たな出題傾向の設問が見られたのも注目されます。総じて確実な知識としっかりした理解力を有していれば正解に至ることのできる問題が多く、難易度は例年並みであったものと考えられます。

学科 II (法規)

法規の出題分野は、建築基準法とその他の建築関係法とからなりますが、建築基準法20、その他の建築関係法5で、例年通りの出題比率でした。出題傾向として注目されるのは、特に建築基準法に関する問題で、政令等の規定についての詳細な設問も目立ち、それだけに、詳細な事項についての系統的な理解に基づく正確な知識の有無が得点に大きく影響するものとなっています。

また、建ぺい率、容積率、高さ制限規定に関する計算問題は、ほとんど毎年出題される定番ともいえる問題ですが、本年はこれらについての計算問題としては、容積率、高さ制限に関する2問のみで、他の多くの問題がやや長文の文章問題でした。

また、建築関連法規では、近年重視されている建築士法について例年通り2問、個人としての建築士の在り方と建築士事務所の在り方について問う問題が出題された他、耐震改修促進法では法の趣旨そのものについての設問や地震時の通行障害等に関する設問など、新たな視点からの問題が出題されたことなども留意点といえますが、総じて、難易度は例年並みであったと考えられます。

学科 III (構造)

構造の各分野からの出題数は、昨年と同様の力学6、各種構造・構造設計13、材料6からなりますが、いずれの分野の問題も、大方の問題は、過去の出題範囲からの出題で、しっかりした基礎知識、理解力があれば概ね解ける内容の問題でした。ただし、構造の分野は、単なる表面的な記憶だけでなく、理論に対するしっかりした理解力が欠かせない分野であり、特に本年の各種構造・構造設計に係わる問題では、木造・RC造・S造の設計や構造計画において、靱性や脆性等の地震時の破壊性状に係わる高度な理解力を要する問題も出題されました。また、耐震改修においても同様の視点からの問題が出題されるなど、高度で難易度の高い問題が出題されていたことは注目され、総じて難易度は概ね例年並みか、やや高かったと考えられます。

学科 IV (施工)

施工は出題分野が広く、また記憶しなければならないことが詳細なことも含めて非常に多いのが特徴ですが、本年の試験での各分野別の出題数は、計画・管理・契約5、各部工事18、その他2でした。計画・管理・契約に関する問題やコンクリート工事・鉄骨工事・木工事等の問題で、一部に新規の事項について問う問題も見られ、特に、近年重視される傾向にある木造の問題でやや専門的で高度な設問も出題されましたが、総じて過去の出題範囲からの問題が多く見られ、難易度はほぼ例年並みであったと考えられます。 但し、いずれにしても、施工については、詳細な事項についての紛らわしい設問に対しても正確に解答できるための、広範囲に渡る確実な知識を、現場の経験がない事項についても、いかに着実に整理して身につけておくかが得点のための重要な鍵になるといえます。

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