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日越伝統木造建築会議 ベトナム・トゥア・ティエン・フエ

日越伝統木造建築会議 ベトナム・トゥア・ティエン・フエ

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日仏景観会議、倉吉

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NEWS : 伊勢神宮遷宮 記念特別参拝・見学会報告

- 本会主催 -

 伊勢神宮遷宮 記念特別参拝・見学会報告

平成25年11月29日(金)、30日(土)に、本会主催による伊勢神宮遷宮記念特別参拝・見学会が開催されました。本会会誌・ホームページのみならず、他団体のホームページにも参加を呼び掛け、御蔭様で50名を超える大変な盛況となりました。29日には伊勢市内にある伊勢シティホテル二階白鳳の間にて、中村光彦・神宮式年造営庁技術総監より、伊勢神宮が近世の日本の建築と日本人の感性に与えた意義を述べた講演が行われ、その後、同会場にて懇親会が行われ、日本各地より参集した参加者が和やかに交流を深めました。


 紅葉が綾なす五十鈴川

2日目も好天気に恵まれ、鮮やかに色づいた紅葉が美しい五十鈴川にかかる宇治橋を渡り、皇大神宮(内宮)を参詣しました。内宮では、まず内宮神楽殿に行きました。宇治橋から御正宮に至る参道の中間地点、左側にある銅板葺、入母屋造の建物が、内宮神楽殿です。「伊勢へ行きたい 伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」(『伊勢音頭』)。江戸時代、国民の6人に1人が神宮にお参りしたという「お蔭参り」。このお蔭参りで人々の一番の憧れは、伊勢で「大々神楽」をあげることでした。大々神楽の「神楽」とは、神遊びともいって、我国の上古から神事に用いられてきた歌舞です。大御神の広大な御神恩に感謝のまことを捧げるために奏するものですが、それと共に皇室の弥栄、国の平安、町や家の安全、心願の成就などの御祈祷がなされ ました。現在もこの伝統に基づき、内宮・外宮の域内には内宮神楽殿・外宮神楽殿がそれぞれ設けられ、参拝者の御祈願を大御神にとりつぎしています。神楽奉納では、まずお祓いが行われ、美しい雅楽の調べが奏でられる中、御神札と神饌が供えられます。次に祝詞(願い事)が御神前に奏上され、続いて典雅な舞(神楽・舞楽)が捧げられます。そして、再び雅楽が奏でられる中、お供えが下げられて、終了となりました。


 豊受大神宮(外宮)

次に、内宮の特別参拝を致しました。神宮参拝において、一般の参拝者は、内宮・外宮共に、御正宮の南側に位置する板垣南御門内に進み、生絹の御みとばり幌の掛けられている外玉垣南御門前(一般拝所)にて参拝します。ここで参拝を済ませる場合は参拝の申し込みも必要なく参拝時の服装の取り決めも特にありません。特別参拝の資格のある方は一般拝所よりも更に内側に参入できます。内宮・外宮それぞれの神楽殿で申し込みをしてから、「参宮章」を持参して御正宮に向かい、一般拝所の左方にある南宿衛屋に申し出れば、お祓いの後、神職の案内により外玉垣南御門内に参入して参拝する事ができます。これが「特別参拝」と称される参拝です。四重の垣の内、真っ白な石が敷き詰められた外側の一つの垣の内での参詣は、自然と崇敬の念を抱かせるのに充分なほど静謐で、非常に身も気も引き締まり、終了後は生まれ変わった気が致しました。

次いで、豊受大神宮(外宮)に行きました。外宮でも特別参拝を行い、内宮と同様、清々しい気持ちと心が洗われてゆく感覚に、自然と感謝の念がこみ上げてきました。外宮での特別参拝が終わった後、外宮旧正殿を見る機会に恵まれました。旧正殿は、20年の歳月を経て、檜の素木(しらき)は落ち着いた色合いに変化し、また北側の萱は苔むし、金色に輝く新正殿とはまた別格の風格を有しており、1300年以上も連綿と続く悠久の伝統に思いを馳せずにはいられませんでした。


 50名を超える参加者 (クリックすると拡大)

その後、山田工作場へ見学に行きました。神宮司庁山田工作場は、外宮の森北西に隣接した広大な敷地の中にあり、伝統技術を連綿と護り続ける神社建築の大工場団地です。場内には、製材所、加工所、乾燥倉庫、そして萱葺きの萱を乾燥保存する棟などが何棟も建ち並んでおります。間口10m、奥行き30m程もある広い建物内は中央の通路を通り抜けることができ、左右に分かれて作業が行われています。檜の香り高い室内で白衣の宮大工達が黙々と緻密な作業をしております。意匠部分のほぞ合わせに何度もノミで少しずつ削ってほぞと穴を合わせ外します。髪の毛ほどの狂いもないように真剣な作業が繰り返されていきます。世間の喧噪からかけ離れた此処だけの時が刻々と流れており、伝統の技術を護り継承するというのは 正にこうしたことなのだと実感致しました。式年遷宮の目的の一つに伝統技術の継承が挙げられますが、そのことでは間違いなく匠のDNAは次代へ受け継がれているように思われました。

今回の伊勢神宮遷宮記念特別参拝・見学会では、紅葉が綾なす秋の山々を背景に、我国の伝統木造建築の原点に触れることができたのではないかと思われる次第です。

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